法学部の学生であれば、「弁護士」資格を得るために学生のうちから司法試験の合格を目指す方も多いはず。とはいえ、一般的には大学生のうちに司法試験に合格するのは到底無理といわれています。
しかし、実は近年大学生の司法試験合格者が増えていて、大学生でも十分、司法試験合格が狙える可能性が出てきました。
そこで今回は、大学生になってから取りたい「弁護士」資格と、司法試験に向けてのおすすめの勉強法を解説します。
「弁護士」とは?
弁護士は、法律の専門家として法的問題を一手に担う存在であり、いわゆる「士業」の代表的な存在です。通称「弁護士先生」と呼ばれるように、その社会における存在の重要性は非常に大きく、法治国家における法律のプロフェッショナルとして知られています。
社会においては、司法の場に判断がゆだねられるかそうでないかによらず、日々大小様々な法的トラブルが発生しています。そうしたトラブルを法律のプロフェッショナルとして解決するのが弁護士の仕事です。
弁護士は難関の国家資格の代表格、特に文系においては最高峰に位置する国家資格としてもよく知られているので、弁護士というだけである一定の尊敬を集めます。弁護士資格を持った弁護士は、外側にひまわりが、中心に「はかり」が描かれた専用の「弁護士バッジ」をつけることが許されます。
「弁護士」資格に必要な難関試験「司法試験」とは?
弁護士は難関な国家資格であると書きましたが、それは、弁護士になるためには「司法試験」と呼ばれるあらゆる法律の専門家を認定する国家試験に合格しなければならないからです。なお、弁護士だけでなく裁判官・検察官になるにも司法試験の合格が必要です。
司法試験は、旧司法試験の時代にはその合格率の低さから「現代の科挙」とも呼ばれていた非常に難関な試験であり、憲法・民法・刑法をはじめとする主要な法律、いわゆる「六法」の知識や、法律に関連するあらゆる状況に際する法的判断を問われる試験です。
司法試験は毎年5月中旬に4日間の日程で行われ、短答式試験と論文式試験の2つが課せられます。合格率は毎年25%ほどを行き来していて、令和2年度試験の合格率は約39%とまれにみる高い合格率を叩き出しました。
しかし、司法試験は、その受験資格を得るまでが非常に大変であることがよく知られています。(詳細は後述します)
なお、正確には司法試験をパスしてもそれだけで弁護士になれるわけではなく、司法試験合格後更に約1年におよぶ「司法修習」と呼ばれる研修的な教育(および二回試験を課せられる司法修習生考試)を修了してはじめて弁護士資格が与えられます。
「司法試験」の受験資格を得るための2つのルート
先ほども少し触れましたが、そもそも司法試験を受ける資格を得るためにも大変な道のりを余儀なくされ、これがまた司法試験合格のハードルを大幅に引き上げています。
司法試験の受験資格を得るためには、主に2つのルートが用意されています。そのうちの1つが「法科大学院修了」です。
東京大学や慶応義塾大学、中央大学など法学部をもっている大学には、別途「法科大学院」と呼ばれる法律専門の大学院が併設されていますが、こちらのルートを使う場合、まずは法学部から法科大学院の入試を受けて合格し、法科大学院へ進学します。
法科大学院では未修者コース(3年間)あるいは既修者コース(2年間)を修了する必要があり、どちらかのコースの修了をもって司法試験への受験資格を得られます。
もう1つのルートが「予備試験合格」です。予備試験とは、正式名称「司法試験予備試験」のことで、法科大学院への進学が時間的・経済的に厳しい場合にも法曹を目指せる入り口として機能しているものです。この予備試験は受験資格がないので誰でも受験でき、合格すれば法科大学院に進学せずとも司法試験の受験資格が得られます。そのため、「最短ルートで法曹になれる方法」として知られています。
「司法試験」受験資格を得るには予備試験がいい?
予備試験は、例年5月に実施される「短答式試験」、7月に実施される「論文式試験」、10月に実施される「口述試験」の3つの試験で構成されており、論文式試験は短答式試験合格者のみ、口述試験は論文式試験合格者のみが受験できます。短答式試験・論文式試験では法律科目以外にも一般教養科目として、人文社会科学・自然科学・英語の問題も問われます。
法科大学院は学部を卒業しなければ入れないので、もし大学の学部在学中に司法試験合格を目指すのなら、2つめのルート「予備試験合格」を果たすことが必須となります。しかし、試験に合格できる実力さえあれば法科大学院に行く時間とお金をカットして司法試験へ挑めるので、優秀な学生であれば十分考慮に値するお得なルートでしょう。
また、予備試験ルートをおすすめする理由は他にもあります。実は、近年大学生の司法試験受験者数・合格者数が増えているのです。これはつまり、予備試験合格ルートから司法試験に臨み、合格している大学生が増えているということを意味します。
「司法試験」対策にもなる!予備試験合格のメリットとは
大学生の間に司法試験に合格するには予備試験ルートしかないことはもはや自明の通りと思いますが、実は予備試験ルートにはいくつかのメリットも存在します。
まずは、「より短い時間で法曹になれる」ということです。大学に入ってすぐに司法試験予備試験の勉強を始めれば、大学2年もしくは3年で予備試験合格、大学3年または4年で司法試験合格が可能です。最年少の19歳で司法試験合格を果たした慶応義塾大学の学生もいることから、大学生も在学中に合格できるかも、と励みになったのではないでしょうか。
2番目は「法科大学院の入試費用・入学金・学費が不要になる」という経済的なメリットが挙げられます。特に私立大学の法学部では学部に通うだけでも莫大なお金がかかりますから、法曹になるためのお金は少なければ少ないほどいいのは間違いありません。大学生活をすべて司法試験に費やしても法科大学院に進むための時間とお金をカットできるなら、と考える学生(や親)が増えているのでしょう。
とはいえ、司法試験予備試験合格率はわずか数%と非常に狭き門です。予備試験を落とす可能性のほうが圧倒的に高いのが現実。しかし、それだけ難しい予備試験の対策を十分にしていれば、その努力は法科大学院の入試対策としても大きく役に立ちます。これが3つ目に挙げられるメリットです。
もし仮に在学中の司法試験合格は無理でも、法科大学院を有利に修了できると考えれば、少なくとも予備試験対策を早め早めに始めるメリットは確実にあるといえるでしょう。
以上、大学生になって取りたい資格「弁護士」とはどういう資格で、どのようなプロセスで資格取得できるのかということと、弁護士資格を得るために合格する必要のある最難関試験「司法試験」について解説しました。
大学生のうちに資格をとるのなら絶対に合格が求められる「司法試験予備試験」は、結局は法科大学院レベルの実力を求められているということでもあり、実際に合格するのは非常に難しいというのが現実です。
しかし、記事中にも書いたように大学1年生のうちから予備試験対策に集中していれば、最短ルートで法曹への道が開ける可能性がありますし、仮に合格が無理で法科大学院に行くことになったとしても、法科大学院入試にも役立ちます。
予備試験短答式試験は受験資格がないので、対策は早め早めが肝心です。メリットは多いし大きいので、ぜひ大学生のうちから司法試験合格を目指してみてはいかがでしょうか。
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