「大学院への入学・進学をしたいけれど、どうすればいいのかわからない」…そんな方は多いのではないでしょうか?
大学の学部入試や専門学校への入学方法については、沢山の情報がありますし、専門書も充実していますよね。それに比べて大学院では、入試の内容が大学や研究分野によって異なるせいなのか、入試の情報が積極的に公開されていません。入試では何をするのか、入試前にやっておくべきことはあるのか、という疑問を持つ方も多いはず。
そこで今回は、現役の大学院生が大学院の入試の内容や、入試前にやっておくべきことについて紹介します。
大学院入試とは?
大学院入試とは、一般的には4年制大学(学士課程)卒業後、より専門的な知識・技術を研究する教育機関「大学院」へ入学する時に課せられる試験です。
大学院とは、教育機関でもありますが、何よりも自分が学士課程において専門的に学んできた分野を更に掘り下げていく「研究機関」でもあります。そのため大学院入試は、幅広い分野の基礎知識を問う大学入試とは大きく内容が異なります。
大学院の多くは大学の学部と併設されているので、一般的には同じ大学の所属学部の大学院を受験する学生が多いです。
大学院入試の受験資格とは?
一般的には、4年制大学卒業(学士号の学位取得)ないし卒業見込みの状態であることが、大学院への受験資格となります。
しかし、受験資格は必ずしもそれだけに限ったものではありません。文科省指定の専修学校の卒業や、防衛大学校・気象大学校等のいわゆる「大学校」の卒業、外国において学校教育16年(医学分野等の博士課程の場合は18年)の課程の修了など実に多くのパターンがあります。
また、社会人入試の場合、「社会人経験3年以上」などの条件が付く場合も多いので、社会人入試を希望する方は注意しましょう。
一般的には、大学4年生の段階で専門にしたい分野と教授の研究室を決めておき、その研究室がある大学院へ進学します。必ずしも同じ大学の大学院に進まないといけないルールはなく、他大の大学院に進む人もいますが、同じ大学の大学院のほうがよりスムーズに、かつ有利に受験できるのは確かです。
大学院入試の時期って?
大学院により入試の時期は異なりますが、多くの場合9月~10月に行う「秋入試」と、1月~2月に行う「春入試」に分けられます。また、大学院によって「秋・春両方実施する」場合と、「秋入試のみ実施」・「秋入試の結果欠員が出た場合にのみ春入試を実施する」場合とがあります。
大学院は就職に比べると世間的にはマイナーな選択肢です。その為、就活の内定が出る時期(4月~7月)と大学院の入試の時期はずれており、進路決定に関しては若干の遅れをとることになりますし、世間的に大学院生を応援する流れやキャンペーンなどもありません。
大学院入試は、横並びの大学入試と異なり1人1人受験する分野も日程も違うことが多いので、多くの場合自分自身で学習計画や環境を整えていくことが求められます。
「研究室訪問」はしなければだめ?
大学入試にはない、大学院入試における特有の慣習として「研究室訪問」があります。研究室訪問とは、大学院入試の出願前に自分が志望する研究室へ訪問し、指導教員や教授などと対面して顔合わせをするというものです。
実は制度上は、原則として研究室訪問が合否に影響を与えることはありません。研究室訪問は試験として課せられているわけではないので、実は必須ではないのです。しかし、研究室訪問にはメリットが大きいため、多くの大学院入試受験者が事前に行っています。
研究室訪問を行うメリットは、「出願前に教授との相性を見極められる」「実際の学習環境を見学・実感できる」「他大生の入学を受け入れないなど、大学院ごとの暗黙のルールを説明してもらえる」などがあります。
特に他大学の大学院を受験したい場合には、慣習や暗黙のルールなど成績ではどうにもならない制限などのギャップがあることも少なくありません。それを出願前に理解しておけば、無駄な勉強や出費もなくなりますので、研究室訪問は大変重要です。
また、面接試験を課せられる大学院では特に、事前に学びたい分野や研究テーマを研究室訪問時に教授らと話し合って共有しておくと、本番の試験がスムーズに進みます。
大学院入試(一般入試)の内容
大学院入試の内容は、4年制大学の入試と大きく異なります。
大学院によっても若干異なりますが多くは共通していて、たとえば一般入試の場合では「専門科目」「英語」の試験と、「書類審査」「面接」を課す大学院が多いです。
「専門科目」は分野に応じて実に様々な内容が課せられ、ペーパーテストや論述が一般的ですが、中には実技試験を課すところもあります。大学院によっては一般入試の過去問を
「英語」は専門分野に絡む英文読解等を出題され、大学内の定期試験と同様に辞書の使用を認めている大学院も多いです。
「面接」は教授らとの面談方式で多くの場合個別で実施され、研究テーマや将来への展望、志望動機や人間性などを問われます。面接時には具体的な「研究計画書」の提出を求められることもあります。
多様化する大学院入試制度とは?
大学院入試の試験内容は以上のようなものが一般的ですが、4年制大学の入試と同様、大学院入試もまた多様化の一途を辿っています。
「一般入試」のほかにも、「社会人入試」「推薦入試」「AO入試」「大卒以外の人向けの大学院入試」といった多様な入試が存在し、それぞれに資格や試験内容が異なっています。
たとえば「社会人入試」では書類審査・面接のほかに外国語試験が課せられ、専門科目の試験は免除される場合が多いです。場合によっては外国語試験すら免除されいわゆる「無試験入学」ができるところもあります。その代わり、勤務先所属長の推薦状が必要な場合があることや、詳細かつ具体的な研究計画書が重視されるなど、面接や書類審査の比重が大きいのが特徴となります。
「推薦入試」は多くは同大学から内部進学を目指す学部生が利用できる入試形態で、条件として学部生時代の一定以上の成績を課すことが多く、その分大学院入試の内容は軽減される傾向にあります。
「大卒以外の人向けの大学院入試」では、大学院ごとの個別の入学資格審査により大卒でなくとも入学が認められることもあり、その場合は大学3年生からの編入やいわゆる「飛び級」が認められる場合もあります。
以上、今回は大学院入試の内容について解説しました。
大学院入試は大学入試に比べて内容が専門的に絞られていることもあって、大学入試よりも簡単そう、と思った方もいるでしょうし、逆に大変そうだと感じた方もおられるかもしれません。
大学院への進学を目指すのであれば、専門知識や技術を追求していくことはもちろん、試験制度のルールにはない暗黙のルールや慣習、対人コミュニケーションをより重要視することが求められます。大学院は4年制大学に比べてよりクローズドでマイナーな面のある組織で、より大学や教授との関係性が深い同大学の学部生が有利になるからです。
他大学や社会人から大学院を目指すには、そうした内部進学を目指す学部生と競争しなければなりません。事前の研究室訪問や具体的な研究計画書の作成などで差をつけましょう。
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